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星間氷微粒子の構造・形態を解明!~氷微粒子が関与する多くの現象の見直しを迫る成果~(低温科学研究所 教授 香内 晃)

2021年9月8日

ポイント

●星間分子雲の氷微粒子を超高真空極低温透過型電子顕微鏡内で再現し,観察することに成功。
●氷微粒子はCO2ナノ結晶を含む非晶質H2OにキラルなCO結晶が付着した形態であることを解明。
●玉ねぎ構造を仮定して構築されてきた,氷微粒子の関わる各種現象モデルの見直しを迫る成果。

概要

北海道大学低温科学研究所の香内 晃教授らの研究グループは,新たに開発した超高真空極低温透過型電子顕微鏡を用いた実験を行い,星間分子雲で生成されるH2O,CO2,COを含む氷微粒子が,これまで仮定されてきたような同心円状の玉ねぎ構造ではなく,CO2ナノ結晶を含む非晶質H2OにキラルなCO結晶が局所的に付着した形態であることを明らかにしました。さらに,氷微粒子が原始惑星系円盤で加熱される際もこれまでの仮定と大きく異なる形態変化を示すことを見出しました。

本研究の成果は,氷微粒子上での分子生成プロセスや惑星形成論など,これまで玉ねぎ構造を仮定して議論されてきた多くの現象の見直しを迫るものです。また,氷微粒子上のキラルCO結晶の形成は,生命の起源に関わる宇宙における片方の光学異性体過剰の発現のメカニズムに繋がる発見です。

なお,本研究成果は,2021年9月6日(月)公開のThe Astrophysical Journal誌にオンライン掲載されました。

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星間分子雲の氷微粒子の模式図。
左:これまで仮定されてきた玉ねぎ構造モデル。右:本研究で明らかにした描像。